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後見開始後の諸手続

 成年後見は後見開始の審判確定後に開始することは別のページでも記しました が、このページでは、後見が開始した後に場面に応じて必要となる諸手続につ いて簡単に記したいと思います。保佐・補助の場合も基本的には同じです。

 まず必ずやらなければならないことは、ご本人の財産目録と収支計画表の作成 です。また、後見開始後のご本人の財産の出し入れについては家計簿などに記 録しなければなりません。当然、支出をした場合は領収書などの保管が必要と なります。

 後見人やご本人の住所が変更になった場合は家庭裁判所に連絡しなければなり ません。また、東京法務局に変更の登記を申請しなければなりません。 ご本人の居住用財産(自宅など)を売却したり賃貸したりする場合には家庭裁 判所の許可が必要になりますので、このような場合には居住用財産の処分の許 可を申立てなければなりません。

 遺産分割協議などで、後見人とご本人の利益が相反する場合には特別代理人選 任の申立をする必要があります。この場合、遺産分割協議書への署名捺印は特 別代理人が代わって行うことになります。

 後見人が疾病、高齢、海外転勤などでその任務を行うことができなくなったと きは、家庭裁判所に後見人辞任の許可の申立てを行わなくてはなりません。こ の時は後任の後見人の手配もしなければならないと思います。

 後見人に人数の制限はありませんので、後見の任務が複雑になった等の理由が ある場合は後見人を追加して選任してもらうことも検討しなければなりません。 その場合には、追加の後見人選任の申立てを家庭裁判所にしなければなりませ ん。当然その場合には追加の後見人の候補になる人の手配も必要だと思います。 後見の任務の分担の必要が生じた場合、たとえば、親族である後見人は身上監 護、専門職である後見人は財産管理というふうに任務を分担したい場合は家庭 裁判所にその旨の申立てをしなくてはなりません。

 あってはならないことですが、後見人が不正行為を行った場合、後見人解任の 申立てをされるおそれがあります。解任されると法律上二度と成年後見制度の 保護者になることはできなくなります。

 ご本人がお亡くなりになると成年後見は終了します。その際は家庭裁判所に連 絡するとともに東京法務局に後見終了の登記を申請しなければなりません。ま た、ご本人の相続人の方に財産を引き渡さなければなりません。

最後に、後見人はこの時、報酬付与の申立てを家庭裁判所に行うことができま すので、忘れずに行って下さい。
 以上、ごく簡単に記しましたが、このほかにも後見の任務を行う上で困ったこ とや不安なことが生じるかもしれません。その時は迷わず家庭裁判所に相談す ることをおすすめします。第一次的に後見の監督を行うのは家庭裁判所である ので、事が生じたら出来るだけ早く相談することです。