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平成21年改正国籍法施行

 従来の国籍法では、日本人父と外国人母との間に生まれた子供が日本国籍を取 得するには、その父母が結婚することと、その父から認知されることの2つの 要件が必要でした。その父から認知されたのみでは日本人にはなれなかったの です。

 ところが、平成20年7月に最高裁がその規定は憲法違反であるとの判決を下 しました。法務省はその判決後、国籍法改正作業に着手、平成20年1 2月5 日に改正国籍法が国会で可決成立しました。それが現在の国籍法で、平成2 1 年1月1日より施行されております。

 それによると、日本人父と外国人母との 間に生まれた子供はその父から認知されさえすれば、法務大臣に届け出ること によって日本国籍を取得することができるようになりました。この改正には賛 否両論あるようですが、とりあえずはスムーズに運用されているようです。

 ただ懸念されている問題として「偽装認知」があります。 日本国籍を取得させ るために実の子でないのに虚偽の認知をするといったようなケースです。改正 国籍法によってそれに対する罰則が新設されましたが、そのようなケースを報 道などでときどき耳にします。

 実務上の扱いですが、窓口は法務局(国籍業務を行う支局を含む)です。事前 に窓口担当官に電話で事前相談のアポイントをとります。事前相談の日に窓口 担当官に事案の概要を説明し、必要書類などの指示を受けます。必要書類を揃 えたら、再度窓口担当官に電話し、届出書受付日の予約を取ります。その届出 書受付日に届出事件の本人である認知された子供と認知した父が法務局に出頭 し、届出書に署名し、認知に至った経緯等について窓口担当官から事情を聞か れます。

 その日以降、法務局で届出事件の受否(受理するか否か)の審査が行 われ、受理されると窓口担当官から届出者に電話があり、届出者が法務局に出 頭し、国籍取得証明書の交付が行われます。あとは住所地の市町村にその証明 書を添えて戸籍法上の国籍取得届を提出すれば、届出事件の本人である認知さ れた子供につき戸籍が作られ、手続完了となります。

 法務局での届出事件の受否の審査にかかる期間ですが、特に複雑ではないケー スでも最低2か月程度はかかるようです。複雑なケースでは半年近く待だされ るケースもあるそうです。

 あと、届出事件の本人である認知された子供が届出時に1 5歳未満であるとき は、その法定代理人が届出書の署名欄に署名しなければなりません。ケースに よっては認知した父が日本の民法上、親権者に指定されていないケースがあり ますので、そのような場合は親権者指定の申立てを家庭裁判所にする必要があ ります。そして、親権者に指定されてから、親権者指定の審判書を届出書に添 付して認知した父が署名欄に署名することになります。