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遺言による認知等

 遺言には、財産に関することだけではなく、身分に関することを書くこともで きます。代表的なものは遺言による子の認知や未成年後見(監督)人の指定で す。

 認知は通常は認知する人の生前になされますが、遺言によってすることもでき ます。遺言による認知がなされると遺言執行者が認知届を市町村役場に出すこ とによって法律上認知の効力が生じます。戸籍法上、遺言による認知届を出す ことができるのは遺言執行者に限られております。

 そのため、遺言執行者が指 定されていないヶ-スでは、利害関係人が家庭裁判所に、遺言執行者選任の申 立てをして、遺言執行者を選任してもらわなければなりません。(遺言で認知 した胎児が死体で生まれた時の死産届も同じです。)

 これに対して、未成年後見(監督)人の指定は遺言が効力を生じた時(相続開 始時)に直ちに指定の効力が生じます。この場合の届出者は未成年後見(監督) 人自身です。遺言執行者のその遺言の執行の余地はこの場合ありません。敢え て言うならば、未成年者の後見届の用紙を未成年後見(監督)人として指定さ れた人に交付することぐらいでしょうか。

 平成2 3年民法(家族法)改正で未成年後見人の数に制限はなくなりますが (平成2 4年6月までに改正法は施行されます)かつては未成年後見人は1人 でなければならないとされていたため、誤って2人以上の人を遺言で未成年後 見人に指定したときのその遺言の効力が問題となります。

 選択的にどちらか1人を指定したと解するのか、それとも、指定そのものを無効と解するのか見解 が分かれます。子の福祉を第一に考えるのであれば、指定そのものを無効と解 するのは酷であると考えます。この場合は選択的にどちらか1人を指定したと 解するのが相当だと思います。むしろこういった不都合をも解消するために民 法(家族法)が改正されたともいえます。

 認知の話に戻りますが、死亡した子を遺言で認知することもできますが、遺言 執行者がその遺言を執行するには、その子に直系卑属がいる場合に限り執行す ることができます(その直系卑属が成人している場合にはその成人している直 系卑属の承諾も必要となります)。成人した子を遺言で認知する場合、遺言執 行者がその遺言を執行するにはその成人した子の承諾を得なければなりません。