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特別代理人

 後見開始の審判が下り、確定しますと成年後見人は成年被後見人の財産管理を 包括的に代理することができます。ところが、こんなケースを想定してみてく ださい。成年被後見人と成年後見人が故人の共同相続人だったとします。

 成年後見人は成年被後見人の財産管理を包括的に代理しますので、遺産分割協議の 場で成年被後見人の相続分についても成年後見人が処分する権限を持ってしま うことになり、いわゆる「お手盛り」の危険が生じます。

 このように成年後見 人と成年被後見人の利害が衝突するケースを利益相反といい、そのような場合 には成年被後見人の相続分の処分については本来の成年後見人とは別の人であ る臨時の成年後見人にの人を特別代理人と言います)の選任を家庭裁判所に 中立てなければなりません。家庭裁判所で選任された特別代理人がこのケース では遺産分割協議を行います。

 特別代理人にはどのような人が選ばれるかというと、この例でいきますと、共 同相続人ではない人であれば一応誰でもOKです。要するに利害関係のない人 であればいいわけです。保佐や補助のケースでも同じで、本人と保護者の利害 の衝突が起きる場面では本人のために臨時保佐人・臨時補助人の選任の申立て を家庭裁判所に申立てなければなりません。

 なお、実務では、あらかじめ特別 代理人(臨時保佐人・臨時補助人)になってくれる人をお願いしておいて、選 任中立書の特別代理人(臨時保佐人・臨時補助人)候補者欄にその人の身分事 項等を記入して家庭裁判所に提出する扱いになっております。そして、特に問 題がなければ、その人が特別代理人(臨時保佐人・臨時補助人)に選任されま す。候補者のあてがないケース(お願いする人がいないケース)では家庭裁判 所が弁護士を選任するそうです。

 ちなみに遺産分割協議では相続関係説明図上の成年被後見人の出生年月日と住 所の記載の隣に特別代理人の氏名住所を記載し、特別代理人の印鑑登録証明書 と特別代理人選任審判書と住民票を添付し、遺産分割協議書には特別代理人が 署名押印します。

 特別代理人(臨時保佐人・臨時補助人)はその目的にの例では遺産分割協議) が達せられると自動的に任務終了となります。なお、選任申立ての際は選任す る必要かおる理由(=選任の目的)を必ず記載しなければいけないことになっ ております。

 この特別代理人は成年後見のケースのみならず、未成年後見のケース(未成年 後見人と未成年者の利害が衝突する場合)や親権者と未成年者の利害が衝突す る場合(主な例はいずれも遺産分割協議)でも選任の必要があります。 最後に、特別代理人を選任する必要があるケースで特別代理人を選任しなかっ た場合には無権代理行為になります。